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IRR法の長所/短所と活用方法について①

今回は、M&A(事業投資)のみならずプロジェクトや設備投資の採算測定でも利用されるIRR法(Internal Rate of Return Method、内部収益率法)について、 2回にわたり説明します。

主な対象者

  • 事業会社の経営企画・財務・投資部門に所属している方

IRR法とは

IRRを一言で言うと「複利(Yield)」です。
金融や投資の世界は金利=複利なので、実務では「利回り」とほぼ同義で用いられています。IRRという言葉を聞くと難解なイメージを持たれる方でも、「IRR≒利回り」と思えば手触り感が出てくるのではないでしょうか。

IRR法は、投資案件が一定期間でどの程度のIRR(利回り)になるかを求める評価方法です。M&Aや設備投資、不動産投資、プロジェクトファイナンス等で、意思決定(事前)評価(事後)に活用されています。
IRR法に必要な要素は、①投資額、②投資回収期間、③当該期間のキャッシュ・フロー(収支)の3つです。
エクセル式“=XIRR()”を使えば、様々な期間、キャッシュ・フロー発生態様でも簡単にIRRを算定できます

メリットは(相対的に)恣意性を排除できること

IRR法のメリットは、DCF法に比べて恣意性を排除できることです。
DCF法では、(i)キャッシュ・フローと(ii)割引率の2つが価値の変動要因となりますが、IRR法の変動要因は(i)のみです。
後述する「期限」が明確な環境下で投資業務に従事している方の多くは、DCF法よりも信頼できる評価方法だと感じているのではないでしょうか。
こうしたIRR法の特徴については、第2回の方でも数値を交えて解説していますので併せてご覧ください(第2回へ)。

デメリットは「期限」の設定が必要であること

教科書的には「投資規模の比較ができないこと」がIRR法のデメリットとされていますが、実務では、IRR法を単独で利用することは稀なので、このことを弊害に感じることはほとんどないと思います。

むしろ、IRR法のデメリットは、有期限を前提としているが故に、継続企業を前提とした場合の企業評価や、売却予定のない投資等における回収価値の評価が困難であることだと思います。
M&Aのバリュエーションレポートで、IRR法を利用した報告書を目にすることはほとんどないと思います。その理由は、継続企業を前提とする場合や売却予定が無い場合において、外部の第三者があるべき「期限」を定めることは不可能だからです。

投資基準があってこそ活きる

前述の通り、IRR法の活用には「期限」の設定が必要です。逆に言えば、売却を前提としていない投資でも“X年で投資回収する” “X年間の最低投資リターンをY%とする”等、投資基準を整備すればIRR法を活用できます。
IRR法は、DCF法と違い、高度なファイナンスの知識が無くとも扱える指標ですし、しっかりした投資基準を定めることは、無計画な支出の抑制のみならず、業績評価にも役立ちます。
M&Aや投資による事業拡大を検討する際には、投資基準を整備し、IRR法を活用してみてはいかがでしょうか。

株式会社LeverNでは、IRR法を盛り込んだ投資基準の策定に関してもご支援しています。
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