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M&Aで行われるデュー・ディリジェンス(DD)とは?

M&Aの浸透と共に、デュー・ディリジェンス(DD:「デューデリ」とか「ディーディー」と呼ばれることもあります)という用語を耳にしたことがある人は増えてきたと思います。
しかしながら、一般にどのような事を行うのか、誰が関与するのか、その重要性や発見事項の活用方法については正しく理解されていないことが多いです。

そこで、まずは、本稿でM&Aで行われるデュー・ディリジェンスとは何かを説明したいと思います。

主な対象者

  • 初めて、事業や会社の売却を行う会社のオーナー社長/売却担当者
  • 事業や会社の買収に不慣れな会社のM&A担当者

そもそもDDとはどういう意味なのか?

英語のDue Diligenceの略で、M&Aにおいては買収実行前に行われる詳細な調査を指します。

Dueという単語は、期日性のある事柄における「責務・返済義務」や、由来を示す「原因」「正当な」等の意味で使われます。
Diligenceという単語は、愛する、心を傾けるといった語源から「勤勉」「入念」といった意味で使われます。

会社や事業の合併買収の局面で、Dueという単語とDiligenceという単語を並べると、その意味は「期日ある中で入念に果たすべき責務」といったところでしょうか。これが冒頭記載した調査業務を指すことになりました。

DDは誰が行うのか?

M&AにおけるDDは、一般に、買手が専門家の協力を得ながら行います。
ただし、大きな案件では、売手(株主、または、売却後も残る事業)が、売却対象事業や企業の情報を整理するために行われることもあります。

DDは自分でやってもいいの?

勿論OKです。

しかしながら、少額案件を除けば、DDで専門家を活用することは多いです。そこには主に以下の理由があります。
リソースの問題:社内にDDを実施できるスキルを有した人材がいない、あるいは、スキルを有した人材がいても他の業務がありM&Aに注力できない
客観性の問題:第三者の見立てが知りたい
特に、財務DD、法務DD、環境DDは、様々な分野の人材を社内に抱える大企業やファンドですら、専門家を起用して実施することが多いといえます。

DDは、誰が行うかによって差が出るものなのか?

はい、著しく差が出ます!

M&Aの実行(エグゼキューション)フェーズにおいて、誰が行うかによって成果に大きな差が生じる業務がDDと交渉(契約・価格)です。

DDと交渉の2つの業務において専門家を活用するならば、安易に知り合いの会計事務所や弁護士事務所に頼むのではなく、必ず、M&Aの経験が豊富で実力のある弁護士事務所や会計事務所、M&A専門会社に依頼しましょう!

長年、M&Aや再生、投資に関わっている人間ならば、DDの報告書や株式譲渡契約書(及びその交渉履歴)を少し見るだけで、関与した外部専門家の経験や実力が簡単に判別できます
そして、DDや交渉の巧拙は、ほとんどの場合でM&A後の成果を左右します。

逆に、M&Aの経験に乏しい弁護士、会計士、税理士、コンサルタントをDDや交渉に起用するくらいならば、専門家を起用せず自前で行った方が良いでしょう。

どんな規模のM&AでもDDは必要か?

必ずしもそうではありませんが、DDは可能な限り実施すべきと考えます。

前述の通り、DDは自ら行ってもいいわけです。
昨今では、個人が買手となる小規模M&Aも増えてきていますが、このような場合でも、ご自身で出来る限りの調査はするべきです。なぜならば、M&Aでは、小規模案件でも、買手に大きな損害を与える可能性があるからです。
小規模M&Aから大きな損失が発生した著名な事例が、東芝がSB&I社から買収したS&W社の案件です。

この案件は、総資産5兆円を超える会社(東芝)が行った140億円規模のM&Aでした。
自社グループの総資産と比べれば0.3%程度の規模です。1億円の資産を持っている方であれば、百万円未満のM&Aを行うイメージです。
しかしながら、この会社には数千億円の偶発債務が潜んでいました。結果として、東芝は、米国子会社が連邦破産法11条の適用に追い込まれました。

東芝ほどの大企業がDD未実施で買収したということは考えにくいです。
しかし、M&Aでは、時に、M&Aに手慣れた企業が一定の注意を払っても、こうしたことが起こり得るのです。
DDですべてを把握することは不可能ですが、買収前に出来る限りの調査はしたいものです。

DDにはどんな種類があるのか?

DDの種類は特に限定されていません。
買手が何を調べたいか」によって無限に種類があります。
「このDDは行わなければならない」という決まりはないですし、逆に「このDDだけやっておけばいい」ということでもありません。

とはいえ、M&Aにおいて多くの買手が共通して気になる事項(調査したい事項)というのもあります。典型例が以下の内容です。

  • ビジネスDD将来予測と事業理解に資する情報が欲しい
    ⇒調査内容は、買収対象の事業モデル、市場環境、競争環境・競争力等
  • 財務DD(会計・税務)過去実績と足元のBSの内容を把握したい
    ⇒調査内容は、会計帳簿や申告書、会計処理の方法等
  • 法務DD:事業を取り巻くルールを理解し将来影響を把握したい
    ⇒調査内容は、関連する法律や契約、過去の行為や承認方法等
  • 環境DD:買収対象に潜む環境リスクを把握したい
    ⇒調査対象は、土壌や空気の汚染、騒音、有害物質の取扱いや管理状況等
  • ITDD:ITの管理体制や新規性、活用度合いを確認したい
    ⇒調査対象は、IT基盤、ソフト、開発体制、予算、役職員のリタラシー等

予算が無いけどDDはしたい、そんな時は?

DDの種類と実施範囲を絞り込めば、小さい金額でDDを専門家に依頼することも可能です。
例えば、財務DDで対象とする過去の期間を直前事業年度のみとする、法務DDでチェックする契約を限定する、報告様式を問わない、等の方法が挙げられます。

勿論、専門家が検証する範囲が狭まる分、自ら調査する責任とリスクを負うことになりますが、こうした対応は、元々のリスク量との兼ね合い次第では、十分検討に値すると思います。

DDはどのくらいの期間をかけて行うのか?

DD期間に決まりは有りませんが、売手や買収対象会社/買収対象事業の協力が得られる場合(求められた資料の提出やインタビューがスムーズに行えた場合)には、1ヶ月以内に完了することが一般的です。

成約を急ぐ必要はありませんが、それでも、M&Aの成否にスピード感は大きく関わってきます。
買収対象の規模が大きくなると、調べても調べても新たな事実が発見されるので、ある種の割り切りも重要です。モメンタムを失わぬよう、期限を決めて実施することが必要になります。

株式会社LeverNでは、様々な企業やファンドに財務DD業務を提供しております。併せて、他の種類のDDについても、経験豊富で実力のある弁護士事務所やコンサルタントの紹介が可能です。お気軽にお問い合わせください。