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M&Aにおける必要最低現預金(ミニマム・キャッシュ)

今回は、純有利子負債(ネットデット)の構成要素である必要最低現預金(ミニマム・キャッシュ)について説明します。

主な対象者

  • M&A案件の担当者

必要最低現預金(ミニマム・キャッシュ)とは

必要最低現預金とは、事業を継続運営していくうえで最低限必要な手元資金の水準をいいます。例えば、小売店や飲食店であれば、各店舗のレジには一定量のつり銭を用意しておかなければなりませんし、製造業やITビジネスでも、販売代金の回収までに仕入代金や人件費の支出が先行する場合には一定量の資金を用意しておく必要があります。必要最低現預金とは、一般にその下限をいいます。

M&Aではバリュエーションに影響する

必要最低現預金はM&Aでは必須の確認項目です。
ビジネスの理解に必要なのはもちろんのこと、株式価値の算定にあたっては純有利子負債の調整項目となるからです。
必要最低現預金がバリュエーションに与える影響を図示すると以下の通りです。

どのようにして把握するのか

必要最低現預金は、単に決算書を入手・閲覧したのみでは把握できないことがほとんどです。
通常は、専門家DD(財務DD)や、案件によっては買手がそれより前の初期的検討の段階で確認します。
より具体的には、事業や財務に詳しい売手/対象会社のキーマンからのヒアリングや資金繰り分析等により把握します。

買収後の経営改善事項(バリューアップ)にもなる

必要最低現預金の圧縮は、買収後の重要な経営改善事項(バリューアップ)になり得ます。必要最低現預金の圧縮は純有利子負債の圧縮に繋がり、ひいては株式価値の向上に繋がるからです。
テクニカルにはウルトラCもありますが、シンプルに考えても、例えば、小売店や飲食店であれば支払手段を多様化し1店舗あたりのつり銭を減らす努力が挙げられます。製造業やITビジネスでも運転資金の圧縮等が考えられます。 売上拡大が容易ではない案件でも、必要最低現預金のコントロールが可能なケースは存在するので、買収前の段階からしっかりと検討しておきたい項目です。

株式会社LeverNでは、 M&A実行時のみならず、M&A実行後においても様々なサービスメニューを用意しております。お気軽にお問い合わせください。